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新盤日和見天体図

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おにいさんといっしょ

どこ○けーたいのCMパクリ???



俺の、恋人はかわいい。
年上だけど、上官だけど軍部でも評判の綺麗どころだ。この人の下に配属された時は高嶺の花だ、と思っていたのだけれど。神様のいたずらというか、なんというかまさかの逆転ホームラン、俺達は両想いだった。
この人が俺のことを好きだって言ってくれたときどんな奇跡が起こったんだと卒倒しそうになったし、夜ベッドにもぐりこめば実は全てが夢だったんじゃないかって不安で不安でまんじりともできなかった。
だけど寝不足と一目でわかる隈を貼り付けて出勤した俺を、見たこともないような笑顔でこの人が迎えてくれて。いい歳して大声あげて泣きそうになったのは一生の秘密だ。
それからの日々はまさにばら色。
両想いになれたときに一生分の運を使いきったと思ったけれど、その後に続く日々のほうがよっぽど幸福だった。
全くもって有頂天になっても仕方がないだろう。青二才というかワカゾーな俺は、目先の幸福に囚われていろんなことを考えるのを先送りにしていた、のかも知れない。もう少し良く考えれば、今のような事態にはならなかったのかも知れない。
言い遅れたが現在の状況は、誰もが気安く立ち寄れる喧騒が心地よい類の、しかしいい塩梅にこじゃれた所謂飲み屋。
すこしちゃんとした格好できてくれ、といわれて無い頭を捻って考えて、シンプルに黒の上下に落ち着いた。以前デートの時に着て行って彼から絶賛されたそれだ。
なにやら俺のたっぱと金色の髪と青い目が引き立って非常になんだ。…まあキタ、と言ってくれた。どこに出しても遜色ないが、出すのが惜しいからあまりそれで外出するなよ、などと言われた日にはその日の予定をすべて無視して恋人をプチ誘拐した俺を誰が責められるだろう。誰も責められないはずだった。
しかし!
「俺がこいつの兄って奴だな。あーみりゃわかるだろうが血は繋がってねーよ。俺のオヤジの再婚相手がこいつの母親って訳だ。因みにオヤジどもは南方のリゾート地で悠々自適に隠居ライフを年甲斐もなく新婚気分で過ごしているから。こいつの面倒は俺が見ているわけだが。あー何かと好き勝手にして下さっているようだな、ハボック少尉?」
「そういうわけでな。全くもって不本意ながら、戸籍上はれっきとした私の兄でもあるんだ」
「不本意ってなんだよ、ロイちゃん!俺はお前のこと掌中の珠と育ててきたのに!」
うん、まあなんだ。ブレダお前が俺のことを哀れみの眼で見ていたのはこれを知っていたからか…!所詮一人者の僻みと思っていた俺が悪かったよ!だけどこれは教えてくれてもいいだろうが!
「おやおやおや親友を責めるんじゃないぜ?ハボック少尉?サプライズにしないと面白くないだろう???まあそんな訳で俺がロイの兄、な訳だ。」
人を殺せそうな視線で俺を見ながら、ヒューズ中佐…そう、ヒューズ中佐だ。軍部内敵に回したくない人物ランキングで上位3位以内を毎年キープしているマース・ヒューズ中佐だ…!はっきり言って俺もこの人だけは敵に回したくない。
この人の敵になるくらいなら南方のジャングルでゲリラ戦に身を投じたほうがいい。
っていうかいつも思ってましたが。アンタ携帯電話メタルパープル+デコシールってどんな趣味なんですか…。
「ロイがお前の恋人で俺がロイの兄ってことは、いずれお前の兄という可能性もあるわけだ。それがどういうことかわかるか、俺が兄って事は俺とお前は仕事上の電話だけでなくプライベートで顔を合わす必要がある、つまり!電話番号だってプライヴェート№を知る必要があるし、話だって仕事以外のものをする必要性が高い!
そうだ、な?」
だからそのおっそろしい目やめてください。俺の言うこと聴かなきゃお前のこととって喰うって背後のスタンド言ってます!?
まさに俺は蛇に睨まれた蛙状態。真っ白になった頭ではこの状況を打開する術などなくて。俺は無意識にロイに助けを求めようとしたのかも知れない。
「!」
しかし、ふと見たロイは、何時もの自信に溢れたあの表情ではなく、どこか不安げにしか見えなかった。
ちらりと傍らのヒューズ中佐を咎めるように見るが、言葉に出しては言わない。変わりにちろちろとこちらを見つめているが、やはり何も言わない。
だが俺にはその表情だけで充分だった。思い出した。俺はこの人の恋人なんだから、この人を支えなければならない。僅かな不安すら浮かべさせてはならない。それが俺との関係のことなら尚更だ。
だって知っている。
俺はこのひとに確かに愛されているのだから。
ポケットに突っ込んであった携帯を取り出す。二人で選びに行ったとき、迷わずに手に取ったブラックボディのそれ。
…ロイの色だと思ったから。
取り出したそれに記録されたメモリの、とある番号を呼び出す。
迷わず発信ボタンを押すが、あまりのことに表情筋がついていかない。今俺は無表情とも取れる、ひどく硬直した顔をしているのだろうだろう。実際情けないこと限りないが、いいのだ。
なくして惜しいのはロイだけだ。それを失くさないためなら、軍部で評判の腹黒い男だろうと、親友…いや、弟馬鹿と判明した男だろうと、負けることは出来ない。
そう、決めたから。
ぴりりりり、とメタリックパープルの携帯がなる。
鋭いペールグリーンの視線は俺から離れない。
…俺も、逸らさない。
膝の上で握った手は汗で今にも滑ってしまいそうだった。ごくり、と生唾を飲み込んだ音がやけに大きく聴こえると思ったとき、ヒューズ中佐に動きが生まれた。
ひどく落ち着いた動作で、ヒューズ中佐は操作ボタンに指先を滑らす。そうして一点を押す仕種を行った。
着信を示すボタンライトすらもヒューズ中佐を照らしているように見えてさらに恐怖は駆り立てられた、が。せめて目は逸らすまいと真直ぐに、彼を見返していると。
「はーいおにいちゃんです~」
なんだあんたこのギャップは。
「ハボック皆まで言うな」
アホみたいに明るい声が帰ってきたと思えばすかさず大佐からのフォロー。あの俺そんなにヤヴァイ顔してましたか…。
「うふふジャンくんたらひっかかった★いけないなあこのくらい看破できないようじゃこの軍部の荒波を渡っていけないぜ★ってことでおにーちゃんを敬いなさいね、ジャン坊?」
ジャン坊って何ですか…三百字でまとめて提出してみやがれ…!
っていうか言っていいですか…。
…。
……。
………。

俺の純情返して。

END





ずいぶん昔の携帯CMぱろでした。旧日記からサルベージシリーズその一ですー。
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